7/8 MANTANWEB
綾野剛 : 蜷川作品初参加で「狂気にもっと挑みたい」
俳優の綾野剛さんが主演を務める舞台「太陽2068」が7日、
Bunkamuraシアターコクーン(東京都渋谷区)で初日を迎え、
綾野さんら出演者が意気込みを語った。
蜷川幸雄さんが演出する舞台に初めて参加した綾野さんは
「今までやってきたことを恐れず、良い意味で壊したい。
蜷川さんの深淵なる狂気にもっと挑みたいと思いました」と意気込んだ。
http://mantan-web.jp/2014/07/08/20140707dog00m200048000c.html
7/9 シアターガイド
前川知大作×蜷川幸雄演出『太陽2068』が開幕 綾野剛&成宮寛貴&前田敦子のコメントが到着
前川知大作×蜷川幸雄演出による舞台『太陽2068』が、7日、Bunkamuraシアターコクーンにて開幕。
蜷川と、キャストの綾野剛、成宮寛貴、前田敦子のコメントが到着した。
前川率いる劇団「イキウメ」の公演として11年に上演され、
読売文学戯曲賞や読売演劇大賞を受賞した本作。
今回は、蜷川のために書き直した、新たな作品となっている。
物語の舞台は、バイオテロによりウイルスが拡散し、若く強い肉体と高い知能を持つが、
太陽光の下では活動できない変異した人類「ノクス」が生まれた近未来。
普通の人類は「キュリオ」と呼ばれ、少数派になってしまった社会を描いた人間ドラマだ。
■蜷川幸雄(演出)
当初は、面白いけれど上演するには難しい戯曲だなと思ったんです。
二つの世界がくっきりと別れ過ぎていて、それが寓意に見えたらつまらないなと思いました。
魅力的なセットによって、いろいろな出来事にリアリティーを与えてほしい、
そこで俳優が自由に行き来してくれれば、と考えました。
今回の舞台セットは以前使っていたものを取り戻したんだけど、
朝倉摂さんによるセットも伝承されていて、
そういう意味では新旧の技術のコラボレーションといった作品になったことは良かったなと感じます。
出演者の顔ぶれも良かった。綾野剛は最高です。すごくいいんです。新しい。
蘭ちゃんみたいに元アイドルの人もいれば、ロッペイちゃん(六平)の状況劇場とか、
山崎さんの早稲田小劇場とか、全然出自の違う俳優さんがそろっている。
その中で、前田さん、綾野くん、成宮くんら若者たちが伸び伸びとやっていましたね。
前田さんは頭が良くてホンを読む力があるから、ある場面ではドラマチックに、
ある場面ではセクシーに、また狂気の表現など、そういったものをすべて鮮やかにやっていますよ。
もう前田さんをアイドルという目線で見ないでほしい、
ちゃんとした女優さんとして見てほしいなと思いますね。
結果的には、疾走する青年たちの、ある種の青春物語になったかな。
前川さんの劇団「イキウメ」でのやり方とは違うと思いますが、
まあ比較するのも良し、自由に評価していただければ。
自分としては初日をのんびりと楽しめそうだなと思っています(笑)。
■綾野剛
今までやってきたことを恐れず、良い意味で壊したい。
そして、蜷川さんとキャストとともにつくってきた“心が生きる”ということ、
死ぬということを皆さまに届けたいです。
蜷川さん自身が、新しい世界を切り開こうとしていて、それが心地良かったり、
同時に毒々しかったり、やはり演劇を愛しているのだなと。毎日考えさせられました。
蜷川さんの深淵なる狂気にもっと挑みたいと思いました。
人が人で在るために、心を生かすということ。
心を殺すということ。丁寧に感じていただけたら幸いです。
http://www.theaterguide.co.jp/theater_news/2014/07/09_04.php
7.12 産経新聞朝刊
綾野剛、初の主役「太陽2068」 「心を生かす」ライブのような舞台に
8月公開の映画「ルパン三世」で石川五ェ門を演じるなど
映画、テレビで幅広く活躍する綾野剛(32)が、
東京・渋谷のBunkamura25周年記念「太陽2068」で舞台初の主役を務めている。
演出は蜷川幸雄(78)。戯曲は気鋭の劇作・演出家、前川知大のものだ。
知的に優れ、不老長寿と富を得た理性的な人種「ノクス」と、
そのような“進化”を果たさなかった人間「キュリオ」を対比させ、
幸せとは何かを問う。貧しくとも太陽の下、農作業に汗をかくキュリオに対し、
紫外線に極度に弱いノクスは太陽を避け、都会的な環境で生きる。
綾野が演じるキュリオの鉄彦は、無邪気にノクスに憧れるが、
幼なじみの結(前田敦子)はキュリオの現状をなんとかしたいと悩む。
鉄彦はノクスの男(成宮寛貴)と出会い、
2人は互いの違いを徐々に理解し、友情を深めていく。
綾野は鉄彦を「心を生かす」というテーマで演じたいという。
「心が生きるか、死ぬかという物語だと捉えて、すべてを感情に変換して考えています。
頭もいい、年も取らないというノクスの世界は素晴らしいけれど、
理性だけで判断するなんて、それって心は生きていると思いますか?
心が死んでいくんじゃないでしょうか」
決して心を揺らさず、全能感にあふれたノクスと、綾野は正反対という印象だ。
「舞台は経験不足」と前置きして、成宮らと掛け合うせりふとそこに込められた思いを
同時に客席の側へと伝えられるのか、試行錯誤していると明かした。
「舞台はライブです。バンドのライブが盛り上がるのは、
アーティストが観客に届けたいという気持ちで演奏するから。
僕たちもそこは絶対諦めちゃいけない」。涼しげな目で熱く語ったのが印象に残った。
http://sankei.jp.msn.com/entertainments/news/140712/ent14071212500007-n1.htm
7/23日経新聞
Bunkamura 「太陽2068」 差別を超えた友情が開く未来
SF的作風で演劇界に刺激を与える若手、前川知大の作品を
蜷川幸雄が初演出で受けて立った。
前川が3年前、自劇団「イキウメ」で上演した戯曲を基に新たに書き上げた「太陽2068」だ。
前川の予言者的な感覚と、蜷川の幻想的で視覚的な演出が交錯、
壊れた世界で敵と味方の関係を超えて未来に踏み出す若者の友情物語になっている。
バイオテロで拡散したウイルスで人口は激減、感染者の中から新しい人間が出現した。
従来の人間より知的、身体能力が高まった半面、
太陽光の下では活動できないという欠点があった。
新人類はノクスと名乗り、劣る旧人類をキュリオと呼んで支配した。
物語の舞台は山間の小さな村、長野8区。ノクス殺人事件が起きて、
隣接するノクス自治区から経済封鎖を受けていた。
10年に及ぶ制裁が解除されたが、住民は二十数人に減り、
その中にはノクスに憧れる青年の奥寺鉄彦(綾野剛)と生田結(前田敦子)がいた。
そこにノクスの好青年、森繁(成宮寛貴)が見張り番としてやってきた。
前川のSF的な世界を期待すると拍子抜け。村は長屋セットで仕切られ、
住人の多くは「さいたまゴールド・シアター」の老俳優軍団が演じるのでレトロな雰囲気。
ノクスの生きる世界はアクリルの床を透かして見る地下に置かれ、観客席からは見えにくい。
だが、何より舞台の見どころは綾野や成宮、AKB48出身の前田ら
輝く若い俳優らが作り出す時代感覚、身体感覚だろう。
人間がノクス、キュリオに分かれても心を通じ合わせることができる。
森繁と鉄彦の間に育まれた友情はいとおしく、新しい世界を切り開くことになるのだ。
(文化部 河野孝)
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO74573090S4A720C1BE0P01/
7/24 朝日新聞
シアターコクーン「太陽2068」 SF調の趣向、リアルに
前川知大が書いた「太陽2068」を蜷川幸雄が演出した。
世界がバイオテロに攻撃されて半世紀後の日本。
奇跡的に回復した人々はノクスと呼ばれ、夜しか活動できない。
一方、わずかに生き残ったこれまでの人間はキュリオと呼ばれ、
知識、体力共にノクスに圧倒される。
新旧二つの人類の間に起こる抗争と交差、融和のドラマが展開される。
大劇場用に少し改定されたが、前川らしい奇抜な設定は前作「太陽」と変わらない。
SF調の趣向が現実世界を侵食する中、いかにリアルさを獲得できるかが、やはり肝になる。
月と太陽、非暴力と好戦、不老と老化、合理の知性と繊細な感情、エトセトラ。
二項対立の価値観がてんこ盛りだ。
世界の相克と見れば、寓意(ぐうい)劇に痩せてしまう。
だからか演出は、今の世界を連想させる直接の現代化を抑制している。
上下2層の舞台は対照的な世界だ。
上は人口減に悩む旧人類限界集落(美術は朝倉摂の遺作)。
下は新人類無機質な一室(美術は中越司)。二つの世界が峻別(しゅんべつ)される。
異なる時空間の表現もあるが、基調はリアリズム。
小劇場で時間がグニャリと溶ける前川世界とは一味違い、想像に訴える度合いに課題が残る。
人間味のある演技が舞台のリアルさを醸す。
六平直政と中島朋子の情愛、横田栄司の悪。山崎一と伊藤蘭の乾いた感触。
新旧人類をつなぐ成宮寛貴と綾野剛の青春のナイーブさ。他に前田敦子らが出演する。
最後の場面がさわやかだ。人はいかに内なる豊かな矛盾を乗り越えるか。
新しい自分を発見出来るか。若者の内面の旅と見て、楽しんだ。(山本健一・演劇評論家)
http://www.asahi.com/articles/DA3S11262843.html
7/30
チケットぴあ
綾野と成宮、前田らが蜷川の舞台で魅力を発揮
前川知大脚本・蜷川幸雄演出の舞台『太陽2068』が好評だ。
3年前に前川が主宰する劇団イキウメで上演され、
深い文学性で高い評価を得た『太陽』がベース。
気鋭の作家の戯曲を演劇界の巨匠がどう料理するのか注目を集めていたが、
初主演の綾野剛、蜷川作品に7年ぶりの登場となる成宮寛貴、
舞台初挑戦の前田敦子など新鮮な“素材”を得て、全く異なる味わいに仕上がっている。
バイオテロにより、人口が減少した近未来。
社会は新人類「ノクス」と、旧来型の人間「キュリオ」に分かれて暮らしていた。
ノクスは身体的・頭脳的にずば抜けた能力をもつが、太陽の下では生きられない。
一方、キュリオはその能力の差から次第にノクスの支配下に置かれるようになっていた。
ある日、キュリオの村に見張り番としてノクスの森繁(成宮)がやってくる。
そこには外界に憧れる鉄彦(綾野)と、村を守りたいと願う結(前田)がいた…。
最小限のセットで世界観を見る者に託していた劇団公演とは異なり、
蜷川版では舞台をアクリルの床で上下に仕切り、上には村の古びた家々を、
下には近未来を示唆する家具を置いて具象化に振り切った。
より焦点が当てられたのは、鉄彦と森繁の関係だ
。出自は違うが平凡な青年たちが出会い、大切に友情を育むさまを、
蜷川はそのまま綾野と成宮という旬の光を放つ役者ふたりに重ねて描いてゆく。
前田の瑞々しい存在感と、衝撃的なシーンに体当たりで向かってゆくまっすぐな眼差しも、
村に閉じ込められて育った少女の硬質さそのものと感じられた。
振り返れば6月初旬、稽古の初日では緊張気味だった綾野と前田。
作者の前川による本読みの間、綾野はすでにセリフを覚えた様子で、
鉄彦の心の動きをたどるように空を見つめながら唇を動かしていた。
リラックスした姿勢だが真剣な表情で台本を読み込む成宮、
時折思いついたようにペンを動かす前田と三者三様の稽古始め。
その後、床を覆っていた幕をスタッフが取り去ると、
本番同様に稽古場にしつらえたセットが出現。
目を輝かせて床に寝転ぶ綾野と、早速あたりを歩いて回る成宮。
役者が作品に対してすぐさま創造力を発揮できるようにという蜷川の計らいが、
自然とキャスト陣の結束を高めたように思えた。
もちろん若手たちが伸び伸びと舞台にいられるのは、
六平直政や中嶋朋子、大石継太、横田栄司、さらに山崎一や伊藤蘭という、
善悪二元論では片付けられない人間の業を鮮やかに表現できるベテランたちがいてこそ。
綾野らキャスト勢と蜷川に前川、そして観客の誰もが幸せな出会いと感じる舞台になったことは、
連日のスタンディングオベーションが証明しているだろう。
舞台は8月3日(日)まで東京・シアターコクーンにて。
前売りチケットの予定枚数は終了しているが、チケットぴあでは当日券の販売を電話にて受付。
取材・文 佐藤さくら
http://ticket-news.pia.jp/pia/news.do?newsCd=201407290009&afid=700&__from=twitter
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